【サウジアラビアRC】大舞台での台頭に備えよ/速い流れのレコード決着【スワンS】
サウジアラビアRC(GⅢ)
大舞台へ届く脚
重賞とはいえ8頭立ての2歳戦。隊列はアッサリ決まり、ペースも大方の予想通り落ち着き3F通過は35秒7。
コーナーに差し掛かるその後のラップも11秒9-12秒2と上がらず、勝負は残り600mからの脚力比べになった。
逃げ粘るマーゴットブローに外からチュウワカーネギーが並びかけるが伸びは案外。
番手の内から捌いてガリレア、後方からは人気のゾロアストロも追ってくるが、最後は最後方から大外を伸びたエコロアルバが豪快に突き抜けて1着。
1馬身半差の2着にガリレア、逃げ粘るマーゴットブローを最後に捉えてゾロアストロが3着に浮上した。
前半800mが47秒6で、後半800mが46秒2。上がりの競馬らしく前も止まっていないだけに、最後方から大外を突き抜けたエコロアルバの決め手は見た目通り凄まじかった。
道中の走りにはまだまだ遊びも見られ、大舞台での活躍が期待できる圧勝だった。
2着ガリレアと4着マーゴットブローは流れを味方に内を回れた利点があっての好走だが、2着ガリレアは勝ったエコロアルバと同じモズアスコット産駒。雨を貰った馬場がマッチした加点もあったか。
3着ゾロアストロは同条件の新馬戦と近い負け方。本質的には使う上がりには限界がありそうで、軽い瞬発力勝負より、底力が問われる流れの方が合いそうだ。
─次は面白い!先取りホース─
3人気5着
チュウワカーネギー
鞍上も敗因のひとつに挙げていたが、スローの瞬発力勝負で外々を回される厳しい形。
それに加えて、6月以来の実戦でプラス18キロと馬体に余裕があったことで、最後まで速い脚が持続できなかった。
展開的にも体調的にも言い訳が利く敗戦であり、この一戦で評価を下げる必要は無さそう。引き続き高い評価を維持しておきたい。
アイルランドT(GⅡ)
着差以上の評価が要る
スタートを決めた最内枠アドマイヤマツリが押し出される形での逃げ。ペースは大方の予想通りかなり遅くなり前半3Fは36秒4。
各馬が折り合いに専念して好位~中団の馬群は固まり、直線ヨーイドンの伸び比べになった。
逃げ粘るアドマイヤマツリに、内目からアンゴラブラック、馬場の真ん中からはカナテープとラヴァンダが残り200mから猛追。大外からライラックも迫り大激戦となったが、最後はラヴァンダが半馬身前に出たところがゴールだった。
ラヴァンダは3勝クラスからの連勝で重賞初制覇。外枠からで他の上位入線馬より難しい立ち回りだったと思うが、それだけに自身の自在性の高さと地力強化をハッキリ感じられる勝利だった。
2着に内枠を利してロスなく捌いたアンゴラブラック。勝ち馬には伸び負けたものの、正攻法からしっかり伸びた3着カナテープも見せ場は十分だった。
前半800mが48秒9で、後半の800mが44秒9と実に4秒もの差が出た後傾ラップ。
上がり3Fは11秒0-11秒1-11秒1と超高速上がりの勝負で立ち回りの差は如実に出たレースだけに、8枠から外目を回って差し切ったラヴァンダの勝利は着差以上にも評価できそうだ。
─次は面白い!先取りホース─
8人気4着
ライラック
レース上がり33秒2と究極の上がり勝負になっただけに、4コーナー13番手から外を回して3着とハナ差の4着まで詰め寄った競馬はシンプルに強い。
しばらく詰め切れないレースを続けてきたが、鞍上も陣営も公言していたように、ようやく良い頃の状態に戻ってきているよう。
次走が予想されるエリザベス女王杯では過去3年で2、4、6着の成績だが、臨戦に関して言えば今年が一番良い形で向かえそうなのが良い。もともとが人気になりづらいキャラクターでもあり、出走が叶うようなら必ず注意を払わなくてはいけない馬だろう。
(執筆:久光匡治)
スワンS(GⅡ)
速い流れのレコード決着
1番人気が単勝4.4倍と大混戦ムードで始まった今年のスワンS。スタートで大きく出遅れたのはムイ。オフトレイルとタイムトゥヘブンも約1馬身出遅れてのスタート。
速い流れのレコード決着
好発からハナを奪ったのはワールズエンド。そこに外枠から強引に並びかけたのはアサカラキングでこの2頭が後続を引き離す展開。これがスタート後の2ハロン目が10秒2とハイペースを作り出す要因になった。
この流れでは前にいた馬は総崩れになり、外から差し切ったのは出遅れて後方からの競馬になった事が功を奏したオフトレイル。昨年の2着より前進し10年ぶりのレコードタイム更新のオマケまで付いた。
2着には後方で脚をためインを付いて差し込んだワイドラトゥール。いつもより落ち着いていたし京都の舞台がこの馬にとってベストである事も証明した。
3着には休み明けの分伸び切れなかったランスオブカオス。距離が1ハロン短かった事もあり一叩きで馬体が引き締まる次走のマイルCSではキッチリと変わってくるハズ。
4着には厳しい好位からの競馬で直線でも一旦は先頭に立ったウインマーベル。前にいた組では一番頑張ったのが同馬で内容的には勝ちに等しいものと言っても過言ではない。
この距離の重賞でもあり次走は様々なレースに向かうメンバーだがレコード決着を戦った事はどの馬にも良い経験になった事は間違いない。
─次はココに注目!─
1人気8着
ワールズエンド
新潟戦を快勝したあと一息入れ更にパワーアップした姿で帰厩。
肉体的にも精神的にも大きく成長していたが今日はアサカラキングに競られたのが全て。
直線でウインマーベルに内から交わされた後も渋太さを発揮。先行勢はバテて最後方近くまで敗退したことを考えると0.3秒差の7着は立派と言えるもの。
次走はどこへ向かうか不明だが同型がいない単騎逃げの形になればかなり楽しめそうだ。
(執筆:持木秀康)
久光匡治
従来、専門家がその道一本で務めあげる取材と調教。その双方を股にかけ、場所を選ばず活躍する二天一流ホースマンとは彼のこと。馬・人の両側面からあらゆる可能性を探り、時には上位人気馬を印から切り捨てることも辞さない予想スタイルはまさに天衣無縫。優馬の産んだサムライが、今日も未踏の道を征く。
持木秀康
栗東の調教班に所属。優馬の1面にてコラム「オフコース 持論(もちろん!)」を掲載、2016年天皇賞・春にてカレンミロティック(13番人気2着)に単独◎を打ったことは現在でも語り草。推し馬サロンでは関西トレセン捜査班にて予想を提供。


