【いざ北海道へ!】イチから作り上げる2歳馬と目指す札幌デビュー&もしもアーモンドアイの担当厩務員だったら…

08/07 (金) 厩務員・国枝栄の調教日誌

まず最初に、今は馬房と人の都合で担当はしていないが、7月11日に福島で8着だったグランプラネッタが、7月28日の盛岡の地方交流戦で2着とはアタマ差の3着に入り、いい兆しが見えてきた。

メンバーレベルがどうかというのはあるが、それでもキッカケひとつで大きく変わるのがサラブレットの面白いところで、こういう結果を出せたのはいいと思う。

調教師時代の最後に、ノットファウンドという馬が4歳未勝利馬ながら1勝クラスのダート戦を勝って、その後に2勝して準オープン馬になったことがあった。

▲ダートに転向して一変!
'25出雲崎特別で3勝目を挙げたノットファウンド
ノットファウンドは精神的にモロくて、芝では直線に入り失速するようなレースを続けていたが、初めて使ったダートの短距離戦で差す競馬をしたらハマってくれたんだ。


チャンスや選択肢が広がったというのが良かったし、結果を出せて嬉しかったよね。もしグランプラネッタが一つでも勝てるようなら、それに自分が関われたこと自体が嬉しいし、何とかなればいいね。次戦にも注目している。

札幌デビューへ向けて!
ジャストピーチーと北海道へ

次に、先週馬名登録されたジャストピーチーは、6日(木)に自分が跨りウッドで71秒9-56秒2ー40秒6ー11秒9をマークした。

時計自体はそう大したことはないが、外目を回ってのものだし、終い1ハロンの反応は確実に良くなっていて動けるようになっているのが自分で分かる。

このあと、馬運車の都合もあるので日にちは確定できないが、来週中に函館競馬場に輸送して8月22日(土)札幌5R・芝1500m戦を目指して調整するとのこと。なので、自分もいよいよジャストピーチーと一緒に馬運車に乗り、函館に入る予定となった。

▲ジャストピーチーの追い切りに跨った
国枝厩務員(7月下旬撮影)

既に、もう1頭デビュー前から担当しているトゥザファイナルも函館競馬場に入っているので、そちらも22日(土)の札幌1R・ダート1700m戦に出走する予定。函館競馬場に入ったら、その2頭を担当してレースに向かうことになった。

トゥザファイナルはデビュー戦で差のない3着だったし、期待はもちろんしているが、ジャストピーチーのほうも初めて自分でゲート試験を受けて、調教でも跨って時計を出して仕上げてきた馬。

ゼロからというか、イチから作ってきた馬だから、どんな競馬をしてくれるか非常を楽しみにしているんだ。自分なりに追い切り後のみならず、普段から「ああしよう」「こうしよう」と考えて手入れしてきたし、輸送も無事にクリアしてデビューに漕ぎつけたいね。

人も馬も嬉しい涼しさ
自然体で叶う暑熱順化

聞くところによると、今年の北海道は特に涼しいんだろ? 馬は一種のアスリートだから、馬にとってはもちろんいい環境だろうし、人にもいい気候なのは間違いない。

暑さに弱いという、矢作厩舎のフォーエバーヤングも函館入りするという話だし、やはりメリットは大きいと考える調教師も多いのだろう。

美浦も日中は30度を超える気温が続いたりしてだいぶ暑くなってきたが、小島茂之厩舎の馬の熱中症対策としては運動後にシャワーを使ったり、厩舎内のミストや扇風機で涼をとっている。

自分自身でいうと、特徴的な対策はしておらずこまめに水分を摂るくらいかなぁ。でも、それで十分なんだよね。

今は調教師時代よりはるかに体を動かしていて、夢中になって作業をしている。以前から言っているが、よく眠れるしご飯もたくさん食べられるから、とにかく体調がいいんだよ(笑)。だから、最近いわれる「暑熱順化」できている気がする。

仕事して、よく汗をかいて、水分を適度に摂って…とやっていくと、体が暑さに順応してくるということだが、それが自然とできているっぽいね。

せっかく函館に出張に行って滞在もするから、このままいい体調を維持してレースに臨めればと思うよ。

ファンの方からの質問にお答えします!
アーモンドアイの馬房での姿は?

Q.9年前の今ごろ、新潟でアーモンドアイがデビューしましたが、アーモンドアイの可愛かったところはありますか?
A.厩舎で馬房に居るときは大人しくて、本当に可愛かったよ。あれで走らせたら凄いんだから、凄い馬だったよ。でも、アーモンドアイのような馬に、今のような厩務員という立場でやってみたかったよね。

そうすれば細かなクセとか、普段の仕草とか、個性を全てを味わえるから。調教師のときは厩舎全体の馬を見ないといけなかったし、そこまでの時間は持てなかった。

まぁ、1頭1頭に向き合いたくて補充員(ヘルパー)を始めたワケだし、本当に楽しんでいるよ。


Q.馬と話せたら聞いてみたいことはありますか?
A.そうだなぁ…。「よく黙って人の言うこと聞いてるねぇ。俺だったらイヤだぞ」とか言うかな(笑)。だって、調教に耐えて、狭い馬房に入れられて、馬運車に乗ったと思ったらレースではムチで叩かれたりと、大変でしょう。

住むところと食事は心配ないかもしれないが、多少の反抗をしても諫められるし、やっぱり俺だったら嫌気がさすと思う(笑)。


Q.怖い馬っていますか?いたらどう対応しますか?
A.怖いのは人に慣れてくる馬だね。これは特に牡馬に多いが、ナメた態度というかこっちが言うことをきかそうとしても、ガンとして動かないようなタイプ。これは厄介だね。

あとは、牝馬に多いのはちょっとした出来事でフリーズして固まっちゃう馬。ゲート内で膠着してしまったり、急にバッと立って周りが見えなくなったり、制御がきかなくなったりもするんだよ。
車でいうとハミがハンドルになるけど、それがきかなくなるのが一番怖い。

こういうことにならないように、普段からの約束事や躾をシッカリするのが大事。
これは連載のNo.17で「折り合いのつく馬の作り方は?」という質問に答えたときに言ったが、詳しくはそれを見てもらえれば。対応としては、そうならないように普段からちゃんと接する、かな。
⇒連載No.17はこちらから!


(執筆:守屋貴光)


守屋貴光
情報トランスポーター

守屋貴光

情報 美浦 取材

「視点を替えれば真実へ近づく。競馬も芸能界も同じです」──かつて某・有名芸能誌で毎週のようにスクープをスッパ抜いていた根っからの情報屋。競馬界に転身した今となっても"ウラ"を読むクセが抜けず、真の情報を求めて現場を奔走する。現在は厩務員として過ごす元調教師・国枝栄をはじめ、GⅠ常連陣営の取材担当も歴任している。 (担当厩舎:蛯名利、大竹、栗田徹、黒岩、鹿戸雄、高柳瑞、畠山吉、松尾)



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※次回は8月14日(金)更新を予定しています。