【引退記念特集】ダービー馬キズナの佐々木晶三調教師は人情に溢れた漢!フェブラリーS出走予定・ラムジェットの最新情報も!
定年により、今年2026年に惜しまれつつトレセンを去る調教師を特集する特別企画。栗東からは、佐々木晶三調教師を取り上げる。
ジャパンCにて、GIにおける歴代最大着差を付けて圧勝したタップダンスシチーや、宝塚記念を制したアーネストリー。
そしてダービー馬であり、いまや種牡馬として確固たる地位を築いているキズナ。さらには、中山GJ、中山大障害を含む障害重賞6勝を挙げ、あのオジュウチョウサンとライバル関係にもあった名ジャンパーのアップトゥデイト。
十指に余るほどの名馬を育て上げてきた名トレーナー・佐々木晶師の実像とは――
その姿からも人柄の良さが垣間見える
今回は、約20年ほど前から佐々木厩舎を担当し、長年の間に親しい関係性を築いてきた優馬取材班の目黒和外に話を聞いた。
実はこの目黒、かつては元ジョッキー・佐藤哲三のエージェントを務めていた人物でもある。
佐藤哲三といえば、タップダンスシチー、アーネストリーなどで知られる佐々木晶三厩舎との黄金コンビだ。
とにかく人情味に溢れたホースマン
佐々木調教師は、
隠し事がないんですよね。
基本的にネガティブなことは言わない人だけど、馬に何か気になる点があったら包み隠さず教えてくれるんですよ。
プロのホースマンとて、我々と同じ人間である。都合が悪ければ、多少の隠し事があっても驚けない。
しかし佐々木調教師は違う。
師は、良いことも悪いことも壁を作らずはっきりと伝える。むしろ目黒たち記者が師の元に伺った際、自ら率先して取材を始めてくれるほどらしい。
しかも、時にリップサービスを加え、取材している側を楽しませようとさえしていたとのこと。師の人柄をよく表しているだろう。
それに、ジョッキー時代だったころに苦労した方だから、調教師に転身してからは、なかなか恵まれないジョッキーを率先して乗せていたね。
人情味に溢れたホースマンだからこそ、今まで長らく競馬界で慕われ、結果を出し続けてこれたのかもしれない。
キズナ・タップダンスシチーで成し遂げた栄光
先生と一緒に大山ヒルズ(コントレイルなども輩出した育成牧場)に行ったことがあるんですが、その際、まだデビュー前のキズナがいましてね。
「コレだよコレ」
って先生が。
今や大人気種牡馬であるキズナをダービー馬へと導いた佐々木調教師だが、かなり早い段階から馬の素質を見抜いていたようだ。
今や種牡馬としても大活躍のキズナ
そのキズナは弥生賞で5着に敗れた後、すぐに目標をダービー1本に切り替え、毎日杯⇒京都新聞杯からの大一番というローテーションを選択。第80代のダービー馬が誕生した。
「僕は帰ってきました」
不振にあえいでいた武豊騎手が、インタビューで完全復活をアピールした際の一言はあまりにも有名である。
しかし、意外にも佐々木晶師がより一層、勝利の喜びを噛みしめていたのは他のレースだと目黒は語る。
もちろんキズナのダービーは嬉しそうだったけど、タップダンスシチーでジャパンCを制した時は、もうまさに歓喜って感じだったね。
先生は外国馬の強さを身に染みて感じていたから、自分の管理する馬でジャパンCを勝った時の喜びようは凄かったよ。
「夢は叶えるもの!!」という佐々木晶師の言葉も
第1回ジャパンCでアメリカから来日してきたGI未勝利馬・メアジードーツが、当時の日本のトップホースを叩きのめしたのが1981年。
それから22年後、自身の管理馬が後続に9馬身差という歴史的着差を付けて世界中に強さをアピールしたのだ。
格上挑戦の佐々木厩舎
よく格上挑戦をして、かつ結果も出していたよね。
色々なパターンがあるけれど、例えば条件戦だと除外される可能性があるとき、適条件の重賞がフルゲート割れしていたら、確実に使える重賞を選択したり。
そのほうが、逆算して調整できるから、良い状態でレースに使えるし、結果も出しやすいってことだろうね。
オーバーザウォール(3人気)
⇒1998年 GⅢ 福島記念
カゼニフカレテ(3人気)
⇒2003年 GⅢ 愛知杯
マイネソーサリス(13人気)
⇒2003年 GⅢ 愛知杯
ショウリュウイクゾ(7人気)
⇒ 2021年 GII 日経新春杯
シャムロックヒル(10人気)
⇒ 2021年 GIII マーメイドS
それに、格上挑戦するって知らせると、厩舎のスタッフのヤル気が上がるって面もあったようだね(笑)。
素晴らしい人柄のみならず、常識に囚われない戦略を練り、かつスタッフの士気を上げるという師には
策士
という面が隠れていたようだ。
現役馬ラムジェットは、今後のさらなる飛躍に期待
3歳時に東京ダービーを制し、暮れの東京大賞典でもフォーエバーヤング、ウィルソンテソーロに次ぐ3着した素質馬ラムジェットも、佐々木厩舎の管理馬。

次走予定:2/22(日) 東京11R フェブラリーS(ダ1600m)
海外遠征もあって一時は調子を落としていたが、転機となったのは小牧加矢太の存在だね。
彼が調教を付けてから、ドンドン調子を上げていったんですよ。
小牧加矢太騎手は、佐々木厩舎が頻繁に騎乗依頼をするジョッキー。
去年のインプレスの新潟ジャンプステークスを制覇したコンビでもあり、この勝利によって、佐々木厩舎が全10場重賞制覇という偉業を達成したことで話題もなった。
小牧騎手とのコンビで中山大障害でも2着に好走した
その小牧はとにかく調教名人との評判が高く、ラムジェットにも海外遠征明けのみやこSの時から稽古に騎乗(レースは3着)。
『いま、加矢太に直してもらってんだよ』と先生が言ってましたね。
あと、『ラムジェット、かなり良くなってんじゃない?』と、他の厩舎の人まで良化を感じていたくらい。
そんな中で迎えたGIチャンピオンズCで、ラムジェットは3着に好走。鞍上の三浦も「返し馬から弾みがあって、さらに良くなっていました」と述べていた。
このラムジェット、今年の春はGI・フェブラリーSに向かう予定だが、厩舎としての本音は
来年以降、もっと良くなる
とのこと。どうやら佐々木厩舎が解散しても、移籍した先での活躍に大いに期待できそうだ。
さて最後に、かの名伯楽を何と評そうか。キズナ、タップダンスシチー、アーネストリー、さらにはアップトゥデイトなど、確かに活躍馬は枚挙に暇がない。
しかしそれ以上に伝わってくるのは、人柄の良さだ。小牧のような比較的若い騎手の意見や手法を積極的に取り入れる姿勢にも、彼の理念が表れていると言っていい。
馬と同時に、周囲の人々とも手を取り、歩んできたのだ。まさに「絆」の調教師、と言う表現がピッタリだろう。
自分だけじゃなく、担当トラックマンはこの定年で皆寂しいんじゃないかな
残り僅かとなった調教師人生を、我々はシッカリ見届けたい。そして後世に語り継いでいこうではないか。
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