毎日王冠は、1800なら一味違うサトノシャイニング!
毎日王冠(GⅡ)
5週開催の府中は、毎日王冠で口火が切られる。いつも通り、今後は異なる路線を歩む面々が交わることで多士済々、興味深い1戦に。
その中で、まず取り上げなければならないのがチェルヴィニア。
昨年の二冠は2400mと2000mで、牡馬相手の府中となればJCでの4着さえあるのなら、切れ負けする恐れのあるマイルよりは1Fでも長くなることでのエンジン全開が当然ではないか。
また、正面から行くDWでの長目追いで心肺能力を高めたかと思えば、直前は定石通りに3頭併せの真ん中で、他が来れば来るだけ伸びて‘さすが’の貫禄。少々腹目に余裕がある造りだが、むしろ牝馬らしからぬ重厚感を更なる進化と捉えて良いのでは。
ライバルはサトノシャイニング、というか主役に躍り出るシーンさえ。
逆に【1-1-0-0/2】と一気のパフォーマンスUPがある1800mなら違う。何せ、昨11月の東スポ杯でクロワデュノールを脅かした上に、直線だけで他を置き去りにしたきさらぎ賞が示す通り、ワンターンなら底知れず。
加えて、今回はDWでの長目追いが春より1本多いし、1週前などは僚馬エルトンバローズを子供扱いと、ひと夏超えての成長を実感させているのだ。ここ5年のうち、3歳馬が4勝も挙げているように、斤量面の恩恵がダイレクトに表れている当レースの傾向にも当て嵌まる。
逆に、同じ厩舎のエルトンバローズには疑いを挟む。
稽古が実戦に結びつきやすいタイプで、ここ2年の秋初戦より遅い追い切りタイムが復調途上を物語っているのでは。
それならば同じ5歳でもホウオウビスケッツ。
そのきっかけが夏・北海道だっただけに、直近の札幌記念であえなく退いたのが気懸かり。唯、追い切りが本馬場と負荷をかけ切れなかった分、+12キロと重かったのが全てと見做すべき。
逆に、暑さを避けて北海道に残ってからの美浦入りが功を奏した結果、本来のダイナミックな身のこなしが再三。しかも、もう緩めても良かった最終追いに至っても、前週より更に時計を詰める5F65.5秒で、張り詰めた体を駆使しての推進力が凄い。巻き返し必至。
取り扱いが難しいのがレーベンスティール。
けれども、動きに硬さはなく、直前が単走で事足りるほど、1週前までにハードに追った。その一連で口向きの悪さが垣間見えた一方、やはり身体能力を存分に生かしたアクションで上がり36秒台が2回と、能力に見合った強度にも臆することなし。
別定59キロながら前を楽に呑み込んだ昨年のエプソムCが印象的で、同じ舞台なら覚醒して不思議ない。
最後にロングラン。
実際、2月からの連勝はローカルに直線がフラットな京都。が、使い込むことによって昨季までとは明らかに馬が変わってきた事実は確かにあるゆえ、府中で経験値が劣ると決めつけてはいけない。
何より、今回のリフレッシュによって春以上にバランスに秀ででてきたと同時に、重心が沈みつつ四肢に力が籠もる様が迫力満点。自身のレベルを着実に上げている。
京都大賞典(GⅡ)
毎日王冠同様、勝ち馬には天皇賞秋への優先出走権が与えられる京都大賞典が関西のメイン。
本来ならドゥレッツァに一日の長がある筈。
加えて、海外遠征明けの宝塚記念が如何にも淡泊な競馬。確かに、馬場が足枷になったとはいえ、全く動けなかった。本来ならそこでリセットしたことによって態勢を整え直せる筈で、現に6月に臨む過程より速い時計が2本も。
が、いずれも動きに余裕がなく、1週前などは格下相手の劣勢で、容易に絞れぬことが応えている模様。それは単走だった追い切りも同様で、促してもトップギアに入らぬままと、ラスト11.7秒の数字とは裏腹な印象を残した。
ここは明け4歳が優位に。まずはアドマイヤテラ。
まだ粗削りだった段階の菊花賞でさえショウナンラプンタに先着しているように、当カテゴリーなら既に世代トップを争う立ち位置に。
もう1頭の候補は、サンライズアース。
天皇賞でこそ出入りの激しい中で結果的にはプレッシャーに屈したが、それを経ての経験値UPが見込める上に、栗東入り後のコース追い1本目には1F11.2秒。
稽古駆けしないタイプにしては動けたことでも4歳を迎えてからは最も順調に来ることができたとして良い。そして、気分屋といった面は消えない一方、確たる逃げ馬不在で主導権を容易く握れそうなアドバンテージも計り知れぬ。
清水成駿の直弟子
成駿
柴田卓哉
調教
新馬
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙「1馬」在籍時には、「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。長年に渡ってトレセンに通い、今でも美浦スタンドで眼を光らせている。仕上がりを的確にジャッジする腕に、亡き清水成駿も厚い信頼を寄せていた調教の鬼。データが最も少なく難解な新馬戦を己の庭としており、世間が驚く穴の激走を仕留める。


