【スプリンターズS】あまりに特異すぎた展開
スプリンターズS(GⅠ)
力を余した馬は多い
外からジワッとジューンブレアが先手を取り、ウインカーネリアンは控えての2番手。最内のピューロマジックも宣言通りに控えたことで、前半3Fは33秒7とかなり遅い流れになった。
こうなれば今の中山では完全に前に有利な展開。直線では逃げるジューンブレアにウインカーネリアンが並びかけ、2頭併せ馬で後続を突き放しての一騎打ち。両馬譲らず激しい叩き合いの末、最後は外のウインカーネリアンがアタマ差捻じ伏せた。
2着はジューンブレア、3着には後方から32秒7の上がりを使ったナムラクレアが差し込み、中団前目から運んだ一番人気サトノレーヴは弾け切れず4着止まりだった。
勝ち時計の1分06秒9は2012年にロードカナロアが当レースでマークしたレコードに次ぐ時計だが、今秋の中山の馬場状況からすれば特筆する数字ではない。
ちなみに、スプリンターズSが秋の中山での施行となった2001年以降で、ラスト2Fのラップが11秒を切ったのは今年が初めて(10秒6)。
それだけ特異な展開であり、力を余した馬が多い点は覚えておく必要があるだろう。
─次はココに注目!─
9人気16着
カピリナ
メンバー中で最速の持ち時計を持っていたが、外枠からの発走で立ち回りが難しくなり、道中はずっと5頭分ほど外を回らされる形。
なまじスタートを出たことで引くに引けない5、6番手になってしまったのも厳しく、通った進路は全頭の中で最もロスのあるものになった。
外々の追走でなし崩しに脚を使わされ、一番の距離損を被った今回は完全に参考外の一戦であり、函館SSで負かしたジューンブレアが僅差2着に好走していることからも能力面で評価を下げる必要はなし。
次走でケロッと巻き返す可能性は十分。
久光匡治
従来、専門家がその道一本で務めあげる取材と調教。その双方を股にかけ、場所を選ばず活躍する二天一流ホースマンとは彼のこと。馬・人の両側面からあらゆる可能性を探り、時には上位人気馬を印から切り捨てることも辞さない予想スタイルはまさに天衣無縫。優馬の産んだサムライが、今日も未踏の道を征く。


