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競馬コラム

2014年06月11日(水)更新

高含水馬場が目覚めさせ、花開かせた馬


 ジャスタウェイの重巧者ぶりは知れ渡っていたとみえて、さすがに最終的な単勝オッズは2倍を切って1.7倍だった。だが前々日の段階でのオッズは2.5倍前後をうろうろしていた。それでふと、これは死ぬほど買わないと己の結論、というか競馬観に対して正直とは言えないのではないか、と思って、自分がジャスタウェイの単勝に大金をぶちこむことを想像してゾっとした。

 別に己の結論に正直じゃなくたっていいもんね、などと思って自分をなだめつつ馬券を買わないでいるうちに、そのうちオッズが2倍を切ってしまったので、安心して(単勝馬券は買わずに)見ていられたのであるが…。

 それにしてもよくぞ最後の最後にハナ差前に出たものだ。しこたま単勝馬券を買っていた人はシビレタに違いない。

 これでジャスタウェイは(詳しい馬場状態がわからないドバイ戦を除き)、4戦続けて(馬場表記はともかく)高含水の芝で好走したことになる。昨年エイシンフラッシュの2着した毎日王冠は1週間、しとしとしとしと降り続いた上に、ダメ押しで土曜日も1日中降り続いた翌日の日曜日だった。続く天皇賞秋は、金曜日に21ミリ、土曜日に65ミリ降った翌日の日曜日だった。その次の中山記念は金曜日も土曜日も、しとしと降って日曜日も朝から降った日だった。

 木曜日に22ミリ、金曜日に163ミリ、土曜日に82ミリ降り、当日も朝から小雨模様だった今回の安田記念は、質的にはちょっと異次元だったにしろ、やはり極めつけの高含水馬場だった。

 そもそもジャスタウェイは高含水馬場が目覚めさせ、花開かせた馬だということもできる。今回の安田記念を勝つことはある意味ジャスタウェイにとって集大成だったような気もする。馬場がカチカチにならない限り、この馬はこの先当分負けないだろう。とはいえJRAの馬場がカチカチになることもこの先当分考えづらい。



「コースの鬼!コースの読み方&全GⅠ解析編」
の増補改訂版発売のお知らせ




▲増補改訂版 コースの鬼! コースの読み方&全G1レース解析編 (競馬王新書EX004)


(株)ガイドワークスから「コースの鬼!コースの読み方&全GⅠ解析編」の増補改訂版を、11月22日に発売いたしましたので、この場をお借りしてお知らせします。

 同書籍は2007年に初版を出したのですが、それから6年の間に馬場作りが大きく変わりました。そこで今回の改訂版出版に当たり、最新の馬場を理解する上で必要なところ、不足なところを書き足し、大幅に改稿することにしました。

 6年前と現在の馬場の違いは、当時はまだ試験的に使われ始めた段階だったエクイターフが本格的に導入され、芝のレベルがエクイターフ品質に変わったこと。またシャタリングマシンが導入されて芝の路盤が軟らかくなったこと、ダートの粒度分布が研究されて、砂厚の割に速い組成に調節されるようになったこと…などです。

 それらには、このコーナーで何回か触れた事項もあるし、ダートの粒度分布の解説など単行本で初出のものもあります。そうしたアップトゥデートな事項については可能な限り取材し直して書き足しただけでなく、6年たって多少は進歩した(と思われる)現在の自分のレベルに照らし合わせて全事項を吟味し直し、書き直しました。

 自画自賛ですが、初版を読んだ方にも再読可能な内容になったと思いますし、わかりやすい馬場の入門書に仕上がったとも思っています。本コラムを通じて馬場に関心をお持ちになった方は、この機会にぜひ単行本も読んでみてください。






プロフィール
城崎哲

1959年栃木県生まれ。競馬雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』により2007年JRA賞馬事文化賞受賞。 まるで学者のように調査対象を多角的に突き詰め、独自の視点から競馬を追及するのが持ち味で、コース予想の分野を切り開いた。 他に『コースの鬼!2nd Editon』、『ハンデキャッパーの方法』など、競馬に関する著作多数。

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