フルゲートながら、水曜の想定段階で1勝馬がかなりの確率でゲートに辿り着けるということは、勢力図の大きな変化がないとして良いオークス。
となれば、桜花賞からの4F延長とはいえ、能力の絶対値を揺るがすようなことはイメージできぬ。一冠目の結果をベースにすべき。
そこでGⅠをゲットしたエンブロイダリーには敬意を表するしかない。
今季初戦のクイーンカップが厳しい流れの中、番手から追い出しを待つ余裕があった結果の1.32.2秒。底力を問われる状況で見せた強さだったから掛け値なし。コースロスがなかったことが最後の踏ん張りに繋がったとできる桜花賞にしても、自分の型に嵌められなかった道中を撥ね返したのだ。問題は一気の距離延長になろうが、大半が未知数ということなら、実績優先が筋。
加えて、コース追いの1週前は先行した年長馬に対し、追いつくまでが少々手古摺ったとはいえ、最後には測ったような同時入線で上がりに至っては35秒台突入と度アップがあった挙句、締めの坂路がきついラップを踏んでの52.2秒。
元々、ブレのない走りで、切れというより良い脚を持続させることで他を圧倒してきた経緯。2400mが足枷になることなどない。
ライバルは、当然ながらアルマヴェローチェ。
桜花賞が僅差2着と紙一重。こちらは暮れ以来での+12キロだった分、2月に使ったエンブロイダリーに対しては少々分が悪かったし、通ったコースを鑑みれば能力差はない。また、今季初戦に至る過程は成長を促すといったプランもあったが為、結果的には今回が叩き2走目と見做せるのだから、上積みといった点でエンブロイダリーとの順位づけはよりデリケートに。
実際、輸送を控えた直前こそ坂路と控え目だった一方、実質の追い切りだった1週前が、阪神ジュベナイルフィリーズの最終追い切りと同様の1F11.2秒。タフな馬場だった札幌2歳ステークスにおいて、荒れた内からしぶとく伸びたのはスタミナのなせる業。他の脚が上がるような我慢比べでポテンシャルが際立つこと請け合い。
それらに迫るとして良いのがリンクスティップ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。