層の厚いカテゴリーらしく、今週のNHKマイルカップは、性別を問わず粒揃いに。
その中、アドマイヤズームに一日の長があるのは論を俟たぬ。
確かに、前哨戦のニュージーランドトロフィーは取りこぼしたが、離し逃げのある難しい展開にあってもリズムを崩さずに追走して一旦は勝ち切る態勢に。勝ち馬の目標になる形に嵌ったと総括できるし、結果論としてはCWでの1F10秒台を3度マークする過程に余裕のなさがあったとして良い。
つまり、あくまでも叩き台とすべきで、2戦目から一気にレベルを上げた2歳時をむしろ彷彿とさせる。その昨季、自分でレースを造る形から上がり最速での2連勝があって、1F手前で勝負を決める強さだった朝日杯フューチュリティステークスが示すように、直線の長い外回りでこそマックスに。初になる府中マイルでの真価発揮が目に見えているということ。
ニュージーランドトロフィーで金星を挙げたイミグラントソング。
出遅れたことでジックリと構えた故、以前には見られなかった迫力ある末脚でアドマイヤズームを出し抜いたのだから相応の価値があるし、その1.32.4秒が前週のダービー卿チャレンジトロフィーと肩を並べるタイムと完成域に。
そして迎えるGⅠ、速い時計で攻める厩舎でない上に、セーブしつつラスト100mを切って促す程度だっただけに、直前で順当に時計を詰めたこと自体、青写真通りと言える。出し切る覚悟があった前走時の追い切りからであれば良い意味での平行線といった見立てが妥当。
ただし、3走前にレコード決着の0.1秒差があった後、2走前の東京が伸び一息。冬場で緩さを残しつつの見切り発車だったとしても、中山マイルとの落差があるのは否めず。ここはアドマイヤズームに分がある気が。
それならば、別路線から参戦するマジックサンズ。
≫ 続きはログイン内で





柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。