牡馬一冠目の皐月賞が西高東低なのは否定できぬ。
それは、新興勢力の台頭があって良かった弥生賞でさえ、ホープフルステークス3着だったファウストラーゼンが勝ち切ったことに表れている。
その様相を牽引しているのがクロワデュノールであるのは論を俟たぬ。
何せ、夏前にデビューしての3戦3勝がプラン通りだし、ホープフルステークスで当舞台を経験済み。類稀なセンスと共に、追っての反応でも他の追随を許さぬままといったことを認めざる得ないわけ。
テーマは間隔を開けての臨戦といった点に絞られるが、追い日の本数ということならここ2走より2本多い上に、モタついた2週前を境に覚醒した結果、ラスト2本の1Fがいずれも速い。死角を探すのは徒労になりそう。
その牙城に迫る筆頭格がサトノシャイニング。
クロワデュノール同様、キャリア2戦目だった東スポ杯2歳ステークスで0.1秒差と勝ち馬をてこずらせているのが根拠になるし、敢えて前半でセーブする形を強いたきさらぎ賞などは、大外から問答無用といった感じで2着に3馬身差のワンサイドと進化を見せつけたのだ。そこでのラスト2Fがいずれも11.6秒。距離延長で更に、といった印象を残せたのが何より。
逆に、エリキングには疑問を挟む余地あり。
勿論、着差以上に他との格差を感じさせ続けて臨むように、トップクラスなのは間違いない。それは、2戦目から連続して下しているジョバンニのホープフルステークス2着で証し立てられている。
けれども、軽度だったとはいえ骨折明け。ここに至る過程で1F10秒台が2回と、手応えがあるからこそのぶっつけなのだろうが、11月以降、経験を詰めなかったのは確かだし、ここまでで一番速い1000m通過が前走の61.9秒。ユッタリとした流れの中、息の長い末脚を駆使できたと決めつけても良い分、出入りが激しくなること必至のGⅠでは不安が先立つ。
それならば、順調さで上回るジョバンニとファウストラーゼン。
ジョバンニは、唯一の中山はホープフルステークス2着で、そこでの巧みな立ち回りに抜群のコース適性が見受けられるのなら安定株との見立てで良い。
向正面で一気の進出といった確固たる武器を持っているファウストラーゼンは、中山内回りに如何にもマッチしている。
反面、どちらも全力を出し切ったホープフルステークスでクロワデュノールに完膚なきまでに捻じ伏せられた事実が。これらは相手の一角といった立ち位置から脱せないのでは。
変わり身といった点なら関東馬、それも弥生賞で僅かに及ばなかった2頭。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。