JBCと大トリに位置する東京大賞典に挟まれた時期のGⅠといった点に加え、冬場で仕上げが容易くない分、ひと筋縄で収まらぬのが中京のGⅠ・チャンピオンズC。が、レモンポップが絶対王者の地位にあるのは論を俟たない。
中東への遠征で大敗した以外は連対を未だに外していない上に、国内に限れば5歳時の根岸S以降、5連勝と高いレベルをキープ。加えて、今季は小回りの浦和で完勝したかと思えば、肉弾戦に持ち込んだ盛岡でも追撃を抑えたように、更なる進化さえ。確かに、ミトノオーの存在は目障りだが、初GⅠだった昨冬のフェブラリーSが好位からの競馬と自在味を見せたことを忘れてはならぬ。
問題は状態面に絞られるが、盛岡からここというのは、昨年同様だけに、仕上げパターンは確立されている筈。実際、ほぼ同じ時期からの立ち上げで1週前の7F追いが文句なしの強度を誇っている。異なるのは、木曜の最終追いが単走だったこと。とはいえ、行き出し6Fで落ち着きが反映されたラップでしまいを伸ばすと、上がり36.2秒からラスト11.3秒での締め。筋力が更に上がったと思わせる体のハリ、鎧を纏った如くの全体像を含め、完成域に。花道を飾るに相応しいデキ。
前哨戦と捉えて良い南部杯がレモンポップを負かしに行く競馬ながら0.1秒差と脅かすまでになったペプチドナイルには相応の評価が不可欠。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。