先週の紫苑ステークスを制したのは、石川騎手が騎乗した5番人気のクリスマスパレードでした。
フローラステークスは大外の不利もあって4着に敗れ、オークスの権利獲りに失敗。その後はオークスはオークスでも関東オークスに出走、地方の深いダートが合わなかったのか9着に惨敗。ここは仕切り直しの一戦だったのですが、見事に巻き返し、今後が楽しみになりました。
何より注目を集めたのは勝ちタイムでしょう。
1.56.6秒というのは、今年の皐月賞でジャスティンミラノが出した1.57.1秒というレコードを0.5秒も更新するものだったからです。
先週の中山は開幕週の絶好の馬場で、それが好タイムが多数飛び出した一番大きな理由だと思うのですが、ここまでのタイムが出るのにはもうひとつの味付けが必要で、先週の土日の中山がその味付けも効いていました。
その味付けとは風で、先週の中山は終日南風が吹いていたのです。
南風は直線の追い風になるので、芝2000mはスタートから追い風の影響で速くなりやすい。テンから勢いが付きやすくペースが上がりやすいのです。さらに直線でも追い風で失速しにくいので全体時計が速くなりやすい。紫苑ステークスはこういうメカニズムでレコードが飛び出したのです。
今週末の天気予報を見ると土曜も南風が吹きそうですが、これが北風に替わると時計が出にくくなって前残りの決着が増えます。この3日間開催は風向きに注意して傾向の変化に先回りできるようにしたいと思っています。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。