前回のコラムでは、スプリングステークスで今年の初重賞制覇を果たしたルメール騎手に注目しました。
弾みがついたことで、先週どのような騎乗を見せてくれるのか期待していたのですが、結果は12鞍に騎乗して未勝利(2着3回、3着2回)という残念な内容に終わってしまいました。
先週は、土日ともリーディングを争うライバルである川田騎手と同じ競馬場で騎乗していたので、これまでの川田騎手のプレッシャーが効いていたのかもしれません。
というのも、ルメール騎手が日本で騎乗して1勝も挙げられなかったのは、昨年8月以来の珍しいことだからです。消極的な騎乗が多かったように筆者の目には映りました。
今週、ルメール騎手はドバイに遠征するため、日本では騎乗しません。しかし、ライバルの川田騎手もドバイに遠征することから、両者の対決から目が離せません。
ドバイに遠征すると世界を相手に戦うわけですから、同じ日本の代表という意識になるのか。それともゲートが開けばライバル同士。自分が勝つためにはもっとも警戒しなければならない相手ということで激しい攻防が繰り広げられるのか、興味が尽きません。
ドバイでは、ルメール騎手と川田騎手がそれぞれ有力馬に騎乗します(ドバイワールドカップでは川田騎手がウシュバテソーロ、ルメール騎手はデルマソトガケに。シーマクラシックでは川田騎手がリバティアイランド、ルメール騎手がスターズオンアースに騎乗予定)。
両者の戦略力とメンタル面での強さが問われる舞台で、日本を代表する二人のジョッキーがどのようなレースを展開するのか、世界中が注目しているでしょう。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。