先週の東京新聞杯を制したのは、7番人気のサクラトゥジュール。3連単配当は60万超の波乱の決着になりました。
波乱の原因は、1番人気に支持されたマスクトディーヴァの大出遅れに尽きるでしょう。
パトロールビデオを見ると、マスクトディーヴァのゲートの扉が開くのが遅かったため物議を醸しましたが、これはゲートの内側から扉を押すとゲートを閉めている金具が外れなくなるから起こる現象で、押圧開扉(おうあつかいひ)遅れといわれています。
ゲート内でガタガタして前扉に突進し扉が開きにくくなってしまったのが出遅れの原因で、岩田望騎手はこの件で戒告を受けています。ゲート内で馬を落ち着かせてスムーズにゲートから出すことも騎手の重要な役目ということなのでしょう。
きさらぎ賞で3着だったシヴァースも、ゲート内でジッとせず何度も突進するようなそぶりを見せていましたが、鞍上のデムーロ騎手は馬のアタマを横に向けて扉の開閉を邪魔しないように上手くコントロールし、互角のスタートを決めています。
2023年は、リーディングトップ10に20代のジョッキーが5人もランクインし若手の台頭が目立ちました。
今年はさらに若手たちが成長してトップを脅かすような存在になって欲しいと期待しています。岩田望騎手もそのうちのひとりなのですが、東京新聞杯に関しては出遅れもそうですし、ゲートを出てすぐにビハインドを挽回しようと慌てていたように経験不足を露呈したように感じました。
重賞の1番人気ということで緊張やプレッシャーもあったと思うのですが、それを乗り越えないと先はないと思うので、この失敗を糧にしてさらに成長して欲しいと願っています。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。