前回のコラムで取り上げた横山典騎手は、先週も大暴れでした。
土曜の紫苑ステークスではモリアーナで横山典騎手らしい追い込み劇。息子の武史騎手が騎乗するヒップホップソウルを並ぶ間もなく交わして勝利しました。
翌日のセントウルステークスでも32.4秒という上がりを繰り出し、アグリを2着に持ってきました。手綱捌きが冴えわたっているので、今週もどういう騎乗を見せてくれるのか注目したい。
今回は韓国に遠征し、コリアスプリントをリメイクで、コリアカップをクラウンプライドで制した川田騎手に注目したいと思います。
というのは、勝利ジョッキーインタビューがちょっとした物議を醸しているからです。
受け取り方によっては「韓国競馬はレベルが低い」といっているような受け答えをしてしまったからです。
通訳を介してのやりとりなので、真意が通じないことも多々あるでしょう。もっといえば(通訳の立場で考えると)川田騎手の発言を凝縮したうえで意を汲んで短い言葉にまとめなければならないので、通訳に丁寧に包んだオブラートを剥がされてしまったといったほうが正解に近いかもしれません。
川田騎手も失敗したなという感じで「そういうストレートな表現ではなく、ハイ」とフォローを入れて苦笑いされていたのですが、ここに競馬にまつわるコミュニケーションの難しさが凝縮されていたような気がします。
そういう苦い経験が多々あるからか、ベテランになればなるほど真意を話さなくなる傾向があると思っています。横山典騎手の「馬は頑張っているよ」はその典型ではないでしょうか。
ただ、それはそれで味気ないので、川田騎手にはこれに懲りずに正確で正直な情報発信にこれからも務めて欲しいと思いました。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。