先週、フランスのロンシャン競馬場で凱旋門賞が行われました。
日本からは矢作厩舎のシンエンペラーが挑戦したのですが、日本競馬の悲願でもある凱旋門賞制覇はならず。12着という厳しい結果に終わりました。
今回はシンエンペラーに騎乗した坂井騎手の騎乗ぶりを見ていきたいと思います。
坂井騎手の得意戦法といえば、逃げ。
シンエンペラーはこれまで逃げる競馬をしたことはないのですが、逃げ先行馬が手薄な組み合わせと戦前言われていたので、大仕事をするなら逃げるのが正解と考えていたのではないでしょうか。
これは坂井騎手にしかわからないことですが、レースでの挙動からもそれは窺い知れます。
ゲートを出た瞬間、外にヨレてセヴェナズナイトを邪魔してしまったのですが、それはゲートを飛び出した段階ですでに前にいたから起こったことですし、ダッシュも鋭く馬を促して先手を奪おうとしていたからです。
ただ、坂井騎手の動きを察知し、内のムーア騎手が馬を押して自ら先手を奪ったので逃げる競馬は実現できませんでした。
しかも、シンエンペラーの前に出てからも馬を内に寄せなかったので、シンエンペラーはロスアンゼルスにブロックされ、好スタート決めたのに良い位置を獲ることができず、外目を回る羽目になってしまったのです。
しかも、スタートから促していったぶん、道中折り合いに苦労することにもなり、思い描いた競馬をさせて貰えなかったように見えました。
ただ、世界のトップジョッキーのムーア騎手にライバルとして認められているということはいえるのではないでしょうか。
今回は洗礼を受ける形になってしまいましたが、この経験が将来の悲願達成につながると願っています。
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樋野竜司
HINO RYUJI
1973年生まれ。「競馬最強の法則」02年11月号巻頭特集「TVパドック馬券術」でデビュー。
斬新な馬券術を次々に発表している人気競馬ライター。いち早く騎手の「政治力」に着目し、馬券術にまで洗練させた話題作「政治騎手(㏍ベストセラーズ刊)」で競馬サークルに衝撃を与えている。