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競馬コラム

心地好い居酒屋

2019年04月10日(水)更新

心地好い居酒屋:第64話

皇太子が台覧された平成19年の「ダービー」を勝ったウオッカが、繋養先の英国ニューマーケットで4月1日に亡くなった。「平成」から「令和」への改元が発表されたその日である。新元号の意図するものの良し悪し、または解釈はともかくとして、ウオッカに思い入れがある者にとっては、感慨深い事実だった。


その最たる人間の一人が平成10年のボールドエンペラーで大儲けした「頑鉄」の親爺・後藤哲也だ。4月4日の新聞で事実を知った親爺はその日の午前中に電話してきて「清水さんを思い出してよう!来週の月曜日(8日)は『菊姫』と『八海山』でいいよな」。ご丁寧にも清水が好きだった銘柄を確認してきた。当時「東スポ」の一面でウオッカに◎、結果もさることながら、その文章に感激極めれりで、紛れもなく“ファン”から“清水教”の信者として額ずいた瞬間でもあった。


明るい内に「頑鉄」に着くと指定席のテーブルに何やら紙を広げ、親爺と横山が話し込んでいる。「何だ?それ」。遠野が声をかけるまで気付かなかったほどだから、よほど集中していたのだろう。「あっ、どうも」と横山。顔を上げた親爺が「見ての通り『東スポ』のコピーだよ」。確かに一面右カタに会社のロゴより大きく「成駿・ウオッカ」と大見出しがあり、袖には「ロシアの文豪ドストフスキーも女に救われ賭けに勝った」と。 「懐かしいなぁ。まだ持ってたんだ!」「マカヒキのもあるよ。持って来る?」。腰を上げた親爺を制し「今はいいよ。まぁ立ったついでだし、とりあえずのつまみと、そうだな、まずは『八海山』を頂戴」と注文した。「あいよ」と答えた親爺を見送り、自分の席に腰を下ろした遠野は「読んだ?。面白いだろ。構成も素晴らしいし、清水さんの『馬単三國志』は中国の故事来歴や日本史から引用したものが多かっただけに、これを読んだ時は、さすがに俺もビックリしたよ」。喋っている間に親爺が慌ただしく酒=「八海山」と芹の白和えを持ってきた。


すかさず横山がボトルを持ち遠野に酌を。「お、有り難う」と言って受けた時には親爺もグラスを差し出していた。その後、遠野が横山に酌をし乾杯か清水やウオッカへの献杯か分からないままグラスを軽く上げて口に運んだ。「ええ。驚きました。<ギャンブル、女、金。それは男にとって…>の書き出しから結論まで違和感なく流れるように頭にすぅ~っと」。横山の感想に「そうだろ。博覧強記とはこのこと。俺が『清水さんに少しでも近づくように』と横ちゃんにいつも言ってる理由が分かったろ」と親爺。自慢気だ。 横山はうんうんと頷きながら酒を飲み、芹の白和えに箸を付けた。


「どっかのご老体の政治家が<余人をもって代えがたい時は……なんちゃら>ほざいていたが、清水さんの予想と原稿こそ余人をもって代えがたい力作。横山君も色んな角度から本命の根拠を見つけ文字にしていかないとね」。グラスの酒を飲み干した遠野が補足する。 「有り難うございます。以前にも、遠野さんから“ご当所馬主”の件でご指導受けましたが、清水さんの原稿を読ませていただき、改めて、予想をいかに面白く読ませるのが大切かを痛感しました」


最初はヤンチャ坊主然として、礼もあまり弁(わきま)えなかったのだが、遠野が邦ちゃん先生(故・武邦調教師)と多少の交流があったことを知ってからは(いい意味で)豹変、遠野と親爺の前では実に爽やかな青年となった。縁とは不思議なもんだ。 「おいおい。そんなに緊張すんなよ。金山に『吐いた唾は飲めないんですよ』と啖呵を切った勢いはどこにいった?」。遠野は冷やかしながら酒を呷り、新しく届いたホタルイカの酢味噌和えを噛んだ。身と内臓の歯ごたえに微妙な差があって、これが旨い。 「井尻さん達は選挙や日産の株主総会とかやらで遅くなるみたいだし、お嬢が来る前に『皐月賞』の検討をしておこうよ。横ちゃんは何?やはり『弥生賞』の功労馬メイショウテンゲンから?」と親爺。「お世話になったテンゲンは買いますが、今のところの本線はダノンキングリーです」「今度もダノン?」「ごめんなさい。『桜花賞』はダノンファンタジーを推奨して」「いやいや、そんな意味じゃないから気にしないで」。


どうやら昨日は二人してダノンファンタジーで沈没したようだ。 「ほら、良い事も悪い事も長くは続かない、というじゃないですか。ダノンだって2週連続で沈むとは思えないんです。『桜花賞』で負けたからこそ狙い目だと。もちろん能力の高さは3連勝が示す通りです」 「それに先週のダノンはノーザンFの生産馬。今週のキングリーはテンゲンと同じ三嶋牧場…。応援の気持ちもあるんだろ、横山クン」。遠野が節をつけて問いかけた。応えたのは親爺で「うん!横ちゃんは律儀だ。俺も乗る。いずれにせよ土曜日に電話よろしく。ところで、とのさんは」と親爺。


「ところで…か」と遠野が呟き「へいへい。ついでに聞いてくれて有り難う。俺は“泣く子と社台にゃ勝てない”ってところで、サートゥルナーリアかな。後は穴っぽいところでニシノデイジー。2頭の倍6戦のキャリアが生かされても…」まで言った時にドアが開き梶谷が入ってきた。


「おっ、姫の到来だ」と親爺が声を出し、座っていた上がり框(かまち)から腰を上げた。 梶谷が「お待たせしました」と言い、コートをハンガーに掛け、遠野の横に座ったと同時に親爺の手で新しい酒「菊姫・大吟醸」とお通しが届いた。「刺し身はいつも通りの他に今日はいい鰺が入ったから」。


親爺の声が聞こえていたのかどうか分からないが、梶谷が「散る桜 昭和は 遠くなりにけり」。いきなり替え歌をくちずさんだ後、ふ~と溜め息をつき「さぁ飲みましょう」。周りはキョトン?。<なるほど…。察してはいたが梶谷は昭和生まれか。7日しかなかったが、もし昭和64年生まれなら30歳。「頑鉄」の開店年と一緒な訳だ>。遠野はそう感じたが横山が居るときに確認するのも憚れる。仕方なく「花さそふ 嵐の庭の雪ならで ふりゆくものは 我が身なりけり」と。聞いた梶谷は芹の香りを楽しみながら「いやいや。遠野さんには、まだまだ元気でいていただかないと」。ニッコリ笑って右肩を叩き「今週の『皐月賞』は参加しますのでお願い!当てて下さいね」


最近は“平成最後”がお決まりのフレーズになっているが、梶谷と阿部秘書にとっては平成31年最初で最後の挑戦レースかも。喜ばせてあげたい。  


源田威一郎

GENDA ICHIRO

大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。
斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。
競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。

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