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競馬コラム

心地好い居酒屋

2017年11月12日(日)更新

心地好い居酒屋:第31話

本来なら8月中に結論を出すべきはずの加計学園問題―。やたらもったいつけ、“いかにも慎重に審議してます”を装ってはいたが、選挙も終わり、目論見通りの結果を得るや“頃や良し”と判断したのか11月10日「設置認可」の答申を公表した。

ミエミエの茶番劇ではある。奇しくも4人、いや親爺を含む5人が本当に意気投合した2回目の会合となった6月23日の金曜日も前川前事務次官の記者会見を発端に加計学園、そして長州嫌いが話題に上ったもんだ。

この日は珍しく4人がほぼ同時に入店、約束の7時には、全員が着席。親爺もそそくさとお通しを配り「旨いよ」と自慢しながら取って置きの新イクラを持ってきて、後は仲居に任せ上がり框(かまち)に腰を据えた。隣が美人秘書とあって、どこか嬉しそう。ちなみに、今日の席順は壁際の奥に遠野、対面が梶谷で横が井尻である。

対面の方が、井尻も秘書と「完庶処」の有村社長の意向について話もしやすいだろう、との配慮だが、親爺のテンションが高い。「ホント。ひでぇよな。森友だって拘束しっぱなしで夫婦の口を塞ぎ、加計の方は選挙中に“私が関与したと言った人は一人もいない”なんて開き直って知らんぷりだもんな。京子ちゃんとこの社長が思っている通り、長州人はやることが酷い。うん」。自分で頷きながら「洗心」を注ごうとする。すかさず「私が」と阿部秘書。

「言っとくけど、最終認可をする文科大臣の林も長州人だからな」と遠野が教えると「グルか」と親爺。「いや。あの二人はともに三世で、親爺の代からは山口では有名なライバルというか犬猿の仲。それだけに、てめぇの力を見せつけるためにあえて林を文科大臣にし、嫌な役目を押しつけたんじゃないかな」。深読みしながら遠野は残っていたイクラを匙で掬った。口の中でプチンと弾けたやつを「洗心」で流し込む。

「これで、大臣に骨があってケツをまくり<保留・差し戻し>みたいな形になれば面白いんだけど…」。遠野が呟くと梶谷が「そうそう。都知事だってアウフヘーベンなんて気取ってるし、一旦立ち止まるのも大切ですよね」と言い、皮肉っぽく笑う。

「何だ?そのアウ…なんとかってのは」とは親爺。「親爺には関係ないよ。おまさちゃんが横文字好きな知事をからかっただけ」。遠野の一言で加計問題についての話はこれにて終了。本題=甘方と「完庶処」の関係に移った。

最も気になるはずの井尻は一人お通しのおくら&しらす&かつおぶしの煮浸しを食べている。そこへ阿部秘書がビールを持ち上げ「どうぞ」と。「あ、どうもすみません」。頭を下げながらも“いつ有村の話が聞けるのか”と心ここにあらずの態。みかねた梶谷が「ほら、高にぃ!阿部さんが折角お酌してくれたのだし、聞くことがあったんじゃない?」。助け船を出す。

促された井尻は注がれたビールを一気飲みすると、意を決するかのように「あのう、その後どうなったのでしょうか」と阿部秘書に問いかけた。「広告の一件ですか?あれ、年内は今まで通りで、来年から見直すみたいですよ」「具体的には?分かってたら教えて下さい」。素直に尋ねた。

阿部秘書は運ばれてきたばかりの赤身(鮪)にワサビを乗っけて丸め、左手を添え口に運んだ後「今月中に局長と別部さんに来てもらって話すそうです。恐らくゼロか良くて月イチでしょう。ま、正直言ってコスパも良くなかったし、もともと局長を見込んでの案件でしたから」。ズバリ言うとグラスを親爺に差し出し酒を催促する。

「つまり局長を見限ったってことですか?」「いえいえ。“見限る”なんて、そんな。それじゃあ上から目線じゃないですか。ウチは薩摩料理が売りですし、今回はたまたま局長の“薩摩好き”に感激し『どうせ広告を出すなら』とお願いしただけのことです」。

井尻は納得してない様子だが、質問のしようもなく、気なしにボタン海老に手を伸ばした。二人の会話に割って入ったのが遠野で「京子ちゃんの口からは、これ以上は突っ込めんよ。要するに甘方の“薩摩好き”は営業で、一年付き合ってみて知識や、情に関しても底が割れたってことだろ。その最終判断がこの間、京子ちゃんが報告してくれた新燃岳事件ってこと」。一気に言い放った時、タイミング良く柳葉魚(ししゃも)が届いた。

「暖かいウチに食おう」と皆に勧め、カボスを絞り真っ先に箸をつけ、頭からかぶりついた。「それぞれ牡と雌が一尾づつあるから両方試してみて」と親爺。阿部秘書は「美味しそう」と言いながら、誰とはなしに「井尻さんは編集でしょ。どうしてそんなに広告が気になるんですか?」。単純なおかつ正直な質問をした。

「おまさちゃんもバカバカしい、と思ってるハズなんだ。京子ちゃんだから言えるけど、つまらん社内の派閥と権力争いが絡んでて。今は“金(広告)も稼いでくる編集者”ということで、局長の中では甘方が一番の評価を得てるみたい。現に自慢してるらしいし、次期役員は確実とか。そうだろ井尻」。遠野が答えた。井尻は黙って“サッポロ”だ。

阿部秘書は、ふ~んてな感じで考え込んでいたが「そうかぁ。局長の威信が低下すると可愛がられている井尻さんにも影響が及ぶってこと?そんなの関係ないと思いますよ」「そうなんだ。こいつは甘方ベッタリじゃないし、“仕事さえしてれば不安になる必要はない”と言ってるんだけどね」。遠野が喋ってる間に柳葉魚を食べていた梶谷が「身は牡の方が脂が乗ってて美味しい!」とニッコリ。屈託がない。

「井尻よ。気休めかもしれんが“狡兎三窟”は知ってるだろ。それで行け。金魚の糞にならなければ大丈夫さ」。遠野はドンと背中を叩き、前にいる美女二人に「洗心」を注ぎ足した。

「ところで、とのさんはエリザベス女王杯どうするの?」「豊ちゃんがあんなだもんなぁ。まだ決めてないけど、アヤがついたようだしスマートレイアーだけは買わない積もり。もしかしたらジャパンCのキタサンブラックも消すかもな」。遠野が答えると「そうだよなぁ」と首をヒネる親爺に「どっちにしたって今は馬券より酒と肴だろ。他にないの?」「へいへい。すんませんねぇ。もうすぐ蒸し鮑が上がるのでお待ちを」。と下げたハゲ頭を見て、空気が少し和んだ。


【著者プロフィール:源田威一郎】
大学卒業後、専門紙、国会議員秘書を経て夕刊紙に勤務。競馬、麻雀等、ギャンブル面や娯楽部門を担当し、後にそれら担当部門の編集局長を務める。

斬新な取材方法、革新的な紙面造りの陣頭指揮をとり、競馬・娯楽ファン、関係マスコミに多大な影響を与えた。

競馬JAPANの主宰・清水成駿とは35年来の付き合い、馬主、調教師をはじめ懇意にする関係者も数多い。一線を退いた現在も、彼の豊富な人脈、鋭い見識を頼り、アドバイスを求める関係者は後を絶たない。